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2010-01-12-Tue-00-58

ちょっとした珍道中。その3

またまた予約投稿ー。
小説第三部。 男に案内された先に、その村はあった。

人里離れ、その存在すら忘れ去られてしまっている、人口わずか数十人の、名前を持たない村。

それが、この村だった。

「それで、あなた方はどうして、私たちを待っていらしたのですか?」

小さく首をかしげながら、やんわりと尋ねるフェル。

よくフェルは堂々としていられるなぁと、テヌートは感心する。

村の中央の大広場で、3人と案内人の男――もとい村長は、数十名の視線を全身に浴びながら座っていた。

みな、土下座をした時の村長のような、なんともいえぬ凄みのある雰囲気である。

「実は、ここ数日くらい前からのこと。

今までは、互いの縄張りを守り、我々の住むこの村と自らの住む地域をちゃんと住み分けしていた魔物たちが、

急に我々の村を襲ってくるようになったのです。

この村と魔物の縄張りは、もうかれこれ…その…とんでもなく大昔、

我々と魔物の言葉が通じていた時代から、一度も破られたことはございません。

お陰で村も我々もこの有様。何人もの村人が犠牲になりました。」

村長の目が涙で潤む。

今までは村人たちの雰囲気に圧倒されていて気付く暇もなかったが、

よく見れば周りを囲む村人たちの大半が怪我をしており、倒壊した家らしき残骸もある。

草の間から見えるすぐ側の土には、黒く染み付いた跡もなまなましく残っている。

テヌートは、村の惨状にやっと気付いた自分に呆れた。

「でも、変ですわね。なんで魔物は、一気に村を攻め滅ぼさなかったのでしょうか?」

この村人たちの雰囲気の中で、ズバリと攻め滅ぼすだなんて言えるフェルに、いっそ男らしさを感じるテヌート。

しかし、最もな疑問だった。

村の惨状からして、魔物の力が村人を全滅させるに足りているのは一目瞭然だ。

きっと、新鮮な肉を食うためだ!

そうに決まってる! 村のみんなは毎日数人ずつ殺されて、連れ去られて行ってるんだ!

俺たちは奴らにとって、生きた食料庫なんだ!

村人たちの中から、悔しそうな声が、押し殺したすすり泣きが、暗い影となって3人にのしかかる。

「そこでお願いです旅の方、魔物を殺してください。

このままでは我々は、みな死んでしまうのです!!」

村長の声が重苦しく響く。

助けてくれ!

お願いだ!

あんたたちしかいないんだ!!

悲痛などよめきが村中に反響する。

村人たちの懇願の視線が3人を貫く中、テヌートは重い口を開いて――


「だめだ。」


しかし、先に言葉を発したのは、用意してもらった茶をついさっきまで啜っていたレスカの方だった。

村人たちは静まり返り、きょとんとした顔をレスカに向けている。

「俺たちは一介の旅人だ。

貴様等は俺たちを悪人みたいに思うかもしれんが、こちらもそんな危険すぎる厄介事に首を突っ込む義理はない。」

やや、村人がレスカの言葉を理解するまでに、間があった。

しかし、見る間に村人の顔が、村長の顔が、ある者は青く、ある者は赤くなり、


怒号が爆発する。


なんでなんだ、我々を見捨てるつもりか!!

人でナシ!!卑怯者!!

それに、テヌートは頭を抱えずにはいられない。

無論、テヌートもこの話は断るつもりだった。だが、断り方というものがある。

こんな断り方をされたら、そうでなくとも魔物の襲撃で心が不安定になっている村人たちが、怒るのも無理はない。

「レスカ、言いすぎだ。」

「レスカさん、今のはちょっと…。」

しかし、テヌートとフェルの言葉をまるで無視して、レスカは一口茶を啜ると。

「で、対価はあるんだろうな?」

静かな、しかしよく通る、赤い怒号の中の藍色の声だった。

再び、村人のどよめきが鎮圧される。

「金だ。報酬だ。厄介事を人に頼むからには、それに見合った対価はあるんだろうな。」

「え? えぇ、まぁ、はぁ…。」

レスカの射抜くような視線に、あいまいに首を縦に振る村長。

「よし、交渉成立だ。明日までに用意しろ。分割払いは適応されんぞ、いいな。

テヌート、とっとと行くぞ。フェルは村人の保護をしろ。」

まくし立てるように言うだけ言ってから、レスカはテヌートの襟首を掴むと、そのままぐいぐいと引っ張って行く。

「え、は、はぁああああ!!? いや、ちょっと待てよって首絞まってる絞まってるからッ!!」

テヌートはずるずると引っ張られながら、ぽかんと口を開けた村人に見送られて、村を出たのだった。

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